中古品を売買する人や会社は、原則として古物商許可を取得しなければなりません。
そしてその古物商許可を取得するためには、営業所を管轄する警察署を経由して都道府県の公安委員会に対して許可申請をしなければなりません。
1.古物商の許可が必要かどうか
それではまず初めにしなければならないことはなんでしょうか?
そうです、自分は古物商の許可を取らなければならないのかどうか?を確認する作業です。
以下に該当する方は、古物商の許可を取らないと無許可営業になってしまいますのでご注意下さい。
- 中古品を買い取って売る
- 仕入れた中古品を手直しして売る
- 仕入れた中古品の使えそうな部品だけ売る
- 商品を預かって、売れたら手数料を貰う (委託販売といいます)
- 仕入れた中古品をレンタルする
- 中古品を別の品物と交換する
どうでしょうか?当てはまりましたでしょうか?これらは、
オークションサイトなどネットで売買するケースも同様です。
ただ、上記に当てはまったからと言って必ずしも古物商許可が必要であるとは限りません。例外的に古物商許可が必要ないケースもあります。
2.営業所をどこに設定するか
古物商許可が必要だと確認できたら、次は今の状況で実際に許可が取れるのかどうかを検討しなければなりません。
不許可になりますと、書類を集めたりしても無駄に終わりますし、警察署で支払った収入証紙代(19,000円)も返ってきませんので、ここは事前にしっかり確認しておきたいところです。
勘違いされやすいのですが、ネット通販専門で顧客の出入りが無いような業態でも、古物商許可を取るためには必ず営業所が必要になります。
営業所は全国に何箇所置いても構いませんが、それぞれに申請が必要ですし、常勤できる古物管理者を全ての営業所に配置しなければならないので、営業所は1箇所のみの申請になることがほとんどです。
個人申請ではご自宅、法人申請では本店所在地に置くケースが多いですが、それ以外の場所を借りるなどして営業所にすることもできます。
古物営業法で言う営業所とは、中古品を仕入れたり、古物台帳(売買の記録)を保管・管理する場所の事を言います。
古物商プレート(標識)も掲示する義務があります。
3.他に許可の条件
前述の通り、上記の営業所確保ができれば、古物商の許可はほぼ受けられるでしょう。
但し、厳密に言えばそれ以外にも欠格要件という条件がありますので、念のため確認しておきましょう。
例えば、犯罪を犯した人などがそれに当たりますが、一定期間経過していたり執行猶予期間が終わっていれば問題ありません。
法人申請の場合は、上記のような人が役員にいないかどうかも確認する必要があります。
4.個人or法人
良く、「古物商を取りたいのですが、個人で取るべきですか?法人で取るべきですか?」というご質問を頂きます。
このあたりは混同されやすいのですが、個人と法人は全く別物とお考え下さい。
例えば、鈴木太郎さんという人が古物営業をしたいとしましょう。
個人で営業される場合は、適当な屋号(例:スズキリサイクル)を付けて、鈴木さん個人の事業として中古品を売買することになります。利益が出れば、毎年春に前年分の儲けを確定申告をすることになります。
法人で営業される場合は、まずは株式会社スズキリサイクルなどの「会社」を設立し登記しなければなりません。
そして、宣伝や商品の売買も全て会社名義で行い、毎年決算期には確定申告を行います。
会社に古物商許可を持っている人がいればその会社が中古品を取り扱えると勘違いしている人が時々いらっしゃいますが、そうではありません。個人と会社の許可は全くの別物です。
個人で許可を持っている人が自分の会社を設立したとしても、その会社で古物営業ができるわけではありませんし、一人で個人と法人両方の管理者を兼任することはできませんので、法人の許可を取った時点で個人の許可は返納するケースがほとんどです。
5.古物商の種類は
古物商といっても、その種類は13種類あります。
これら13種類の中で、ご自身がどれを扱いたいのかを決めます。
① メインの品目を、1つだけ決める
② それ以外にも取り扱う予定のあるものを全て選ぶ(複数可)
6.管理者を決める
次に、営業所に常勤する管理者を決めなくてはなりません。
古物営業で言うところの管理者とは、古物売買の責任者で、古物台帳を管理する人です。
また、所轄警察の窓口になる責任者の役割も果たします。
法人だと営業所が複数あるケースも多いですが、この場合は各営業所に管理者を置かなければなりません。
7.ネットで売買する場合
ネットで古物を売買する方は非常に多いのですが、ネットでの古物売買に利用するためのホームページやネットショッピングモールのプロフィールページを使うには、警察署への届出が必要になります。
この届出は、古物商許可の申請時に同時に行うことができますので、許可申請の時点でURLを取れているのであれば同時に提出するほうが楽です。
(許可申請の時点でURLが存在しない場合は、許可が下りてから改めて届出をするしかありません)
ホームページの管理者と古物商の申請者が同じである事が必要です。
8.どこに書類を提出するのか?
古物商許可は各都道府県の公安委員会に対して申請をするということになっていますが、実際に書類を提出するのは実は所轄(地域の警察署)の生活安全課に対して行います。
警察には必ず「管轄」というものがありますので、それを必ずご確認下さい。
9.警察署へ行く
管轄の確認が終わったら、まずは管轄の警察署へ電話予約をして出向きましょう。
申請に必要な用紙一式がもらえ、許可申請の方法を説明を聞いて下さい。。
兵庫県警のホームページより、申請用紙ダウンロードできます。
10. 必要な書類
用紙の入手が終わったら必要な書類を揃えます。
書類には主に以下のようなものがあります。
住民票・市町村が発行する身分証明証・土地建物の登記謄本・登記事項証明書(法人)
11. 書類を書く
必要書類はそろったら、書類の作成に入る。
間違えないように丁寧に。
12. 書類を提出
全ての書類が準備ができました。あとは提出するだけです。
許可申請の審査料(19,000円)が用意できましたら、警察署へ予約の電話を入れます。
上記で用意した書類の一式と、訂正用の印鑑(書類に押した印鑑)をお持ち下さい。
書類を提出しましたら、30~40日前後で許可の通知が来ます。
13. 確定申告について
これから初めて事業をされる方であれば、税務署に対して開業届を提出する必要があります。
そして、利益が出れば翌年度の確定申告時期に税務署で確定申告をしましょう。